承認欲求が満たされず悩んでいるあなたへ
SNSを見て、ふと「自分は何も成し遂げてない」と感じてしまう。
頑張っているのに、誰にも認められていない気がする。
「もっと評価されたい」「誰かに必要とされたい」と思うのは、決してワガママじゃありません。
この記事では、承認欲求が満たされないときに心の中で何が起きているのか、
そして、どうすれば他人の評価に振り回されず、自分らしく生きていけるのかを一緒に探っていきます。
- 承認欲求がどこから来ているのか
- 「誰に認められたいのか」がなぜ重要なのか
- 努力では満たせない承認と、満たせる承認の違い
記事を書いている人
記事を書いている私自身は企業に勤めるサラリーマンとして現在約40歳までの年月を過ごしてきており、その経験の一つとして職場の人間関係で悩み苦しみ、辛かった思いをしてきました。
この記事では、「承認欲求が満たされず悩んでいる」読者のみなさんに向けて、理屈と現実重視の世界で生きてきた元“機械保全士”の私が、心の不調も「整備できるもの」として捉える視点で、ストレスを軽減し、より快適に働けるようになるための考え方や方法を、脳科学・心理学の情報をベースに、私自身の経験も交えながらお伝えします。
【結論】「誰から認められたいのか」が曖昧なままだから
承認欲求に振り回されて苦しくなるのは、「誰から認められたいのか」が曖昧なままだから。
自分にとって本当に大切な価値観に基づいた“承認の軸”を見直すことで、他人に依存せず、自分らしく心を整えていくことができる。
【なぜ?】承認欲求とは

承認欲求を分析
人は本能的に自分を価値のある存在として「認められたい」という承認の欲求を持っています。社会哲学者アクセル・ホネットによると「原初的関係(愛、友情)」「法的関係(権利)」「価値共同体(連帯)」の3つの承認形式があると言われています。
薄井明. (2014)によると私たちの自己アイデンティティを支えるこの「承認」には上記の3つから更に細かく区分することができるとあり、要点をまとめて私がリスト化したものが下記になります。
「愛の関係における承認」
家族、友人、恋人関係の承認になります。
- 「家族的承認」
- 「親子」という切り離せない関係性に基づく「存在の無条件的な承認」(意味による承認)
- 「家族」による「承認」だが社会的価値評価による条件付きの承認は該当しない
- 例):「この子は成績がよいから認める」などは該当しない(価値による承認)
- 「朋友的承認」
- 「気が合う」「好き」といったことが根拠となって維持される任意の関係
- 例)幼馴染/昔からの友人など仕事に関係しない「今更、どう見栄をはっても仕方のない間柄」
- 地位、財産、名声などに関係なく、お互いに存在を認めあえる
- 「性的承認」
- 自分が「かけがえのない存在」として承認
- 「家族的承認」と似ているが、それはあくまで「性的な唯一者」としての承認である。
- 家族的承認のような安定性・持続性がない
「社会的価値評価による承認」
社会、学校、生活にかかわるあらゆる場面で関係する承認になります。
価値の判断として「集団的価値」と「一般的価値」の2つ、そして承認される場として「集団内」と「社会的」の2つで組み合わせは計4パターンに区分できるらしいです。
- ①集団的価値-集団内承認
- 当該集団に特有の価値基準に沿った当該集団の成員による承認
- 例)趣味仲間/遊び仲間/職場/ママ友/ファンクラブ/宗教など
- 「限定された範囲での褒め」としての「称賛」
- ②一般的価値-集団内承認
- 一般的な価値基準に沿った当該集団の成員による承認
- 例)勉強ができる生徒が学校内で「称賛」される
- 承認を与える人間が身近で具体的であるだけ承認の効果は強い
- ③集団的価値-社会的承認
- 当該集団に特有の価値基準に沿った一般社会からの承認
- 例)「 2 ちゃんねる」などインターネット上のコミュニケーション空間における承認
- 反応・賛意・批判などの承認/非承認を与えるのは「誰でもない誰か」
- ④一般的価値-社会的承認
- 一般的な価値基準に沿った一般社会からの承認
- 例)賞を取る/資格を取る/名門大学出身/○○代表選手だったなど過去の栄光
- 例)職業威信が高い職種(医師や弁護士など)
- 身近な人だけでなく初対面または見ず知らずの不特定多数の人からも「称賛」を受ける可能性が高い。
きっちり区分されているわけではなく、会社など組織といった規模・範囲が大きくなるほど「集団的価値」と「一般的価値」など曖昧になると言われています。ですのであくまで承認欲求とは言うけど色々あるんだなと、参考程度にしてください。

私はこのことを知った時に、承認にも様々な形があり、気づいていなかっただけで、色々な人に承認されていて、支えられていたんだなと知りました。
【なぜ?】努力で得られるものとそうでないもの
薄井明. (2014)によると社会的価値評価による承認は、本人の努力で得られるという点に共通の特徴があり、その点が「愛の関係における承認」との最大の相違点である。「愛の関係における承認」は、本人の努力で得られるというものではないのである、と言われています。
分かりやすく言うと下記になります。
価値による承認
社会的価値評価による承認は本人の努力で得られるとはありますが、結局のところ他人からの承認ですので他人次第であり、可能性があるという事だと思います。自分の価値を高めることで他者から評価をされて、承認されることができるということでしょう。
努力のきっかけ
上記だけ見ると承認されたがりみたいに見えますが、私たちは承認されたいと欲求があり、そして可能性があるからこそ努力ができる、つまり承認欲求があることで私たちは努力をするきっかけができるとも言えるのでしょう。
意味による承認
愛の関係における承認は逆に努力したところで得られるものではないということになります。上記で例として上げてますが、「この子は成績がよいから認める」など価値による承認は努力で得られるものだと思いますが、これは愛の関係における承認に該当しない。
そうではなく「親子」「気が合う」「好き」といった意味があるからこそ承認されるので、努力では手に入らないということが言えるのでしょう。



自分の価値を評価してもらうことも嬉しいですが、意味を承認してもらえる関係はとてもありがたいと感じました。
【なぜ?】承認欲求が満たされないのか


薄井明. (2014)によると家族も含めて、どの他者・集団からの承認も種々の程度で自己アイデンティティを支えるものになり得る。だが、いわゆる「社会人」にとって最も重要な承認は「仕事」を通して得られるのが一般的であろう。
そうした「承認の欲求」を満たす、仕事を通した承認の代表的な形態が「昇進」である。その人の業績の「高さ」を評価する一般的な制度である、とあります。
参考:薄井明. (2014). 承認の社会学的理論に向けて:「生きづらさ」 の分析のために. 北海道医療大学看護福祉学部紀要, (21), 13-27.
https://hsuh.repo.nii.ac.jp/?action=repository_uri&item_id=10323&file_id=22&file_no=1
他の他人が評価される
ですので、自分よりも仕事ができないと思っていた同僚が先に昇進した場合、この承認欲求が満たされず、必然的に「なぜ?あの人が」「どうして私じゃないの?」と相手に対して嫉妬したり、評価者に対して不満を持ったりしてしまうと考えられます。
様々な要素
他にも「賃金」「労働の成果」「腕のよさ」「人気」「店の繁盛」「店の料理のうまさ」など様々な要素で他人からの評価を受けた結果、自身の承認の欲求を行うと言われています。
私たちの職場での評価は上記社会的価値評価で言うと基本①が該当しますが、役職が与えられるとその承認効果は社内だけでなく他の場でも更に高まることでしょう。
このような状況は他人との比較や、評価の基準が不透明なほど、不満が大きくなります。
他人と比較するクセ
現代社会では、SNSなどの影響もあり、常に他人と比較する習慣が染みついています。職場においても、「同期のあの人は給料が高い」「あの後輩の方が上司に気に入られている」などと、無意識に比較してしまうことがあります。
他人の成功を意識しすぎると、自分の成長や努力を過小評価してしまいがち、「自分は認められていない」という焦りや不安が生まれてしまう可能性があると考えられます。



私は比較癖があるのでいつも「自分はなぜできないんだ」といった感じで落ち込んでいましたが、これも承認欲求であり、自分が認められていないと思っていたんですね・・・。
評価基準の不透明さ
企業の評価制度は、必ずしも明確で公平とは限りません。特に、中小企業や古い体質の企業では、「上司の好み」や「政治的な関係」が影響を与えることもあります。
例えば、「実績があるのに評価されない」と感じる場合、単純な数字だけではなく、会社の方針やチームへの貢献度など、見えない要素が評価に影響している可能性があります。この評価の不透明さがあるとなぜあの人が?という疑問に対する答えが見えない、納得できないとなり、承認欲求が満たされない原因に繋がると考えられます。



私は近しい存在に特に嫉妬していました。同僚とかですね。
やはり年や立場が近い人であれば、あるのは純粋に「評価の差」ですから気になります。
【なぜ?】「どうすれば承認欲求を満たせる?」
ここからはどうすれば承認欲求を満たせるのかを考えていきます。
承認欲求はいつ生まれるのか
薄井明. (2014)によると人は自尊心を保ち自己アイデンティティを維持するために、社会的領域において「集団的承認」や「一般的承認」を得ようと努力するのである。
たとえば、職業威信が「高い」仕事に就きたいという欲求は主として「不特定多数の人々に承認されたい」欲求であり自分の作品(製品・料理)のよさがわかる客に評価されれば店が「大繁盛」しなくてもよいと思う人は「少数でも特定の人たちに承認されたい」欲求をもっている。
いくつもある「他者からの承認」の中で、特に「どの集団」または「誰」からの承認を重要だと考えているか。この問題は、結局、どの集団または誰を「権威」として認めているか、ということに帰着する。評価や承認を会社に期待している人はたいそうの傷を負う。逆にそれらを期待していない人にはその傷を和らげることができる、と言われています。
引用:薄井明. (2014). 承認の社会学的理論に向けて:「生きづらさ」 の分析のために. 北海道医療大学看護福祉学部紀要, (21), 13-27.
https://hsuh.repo.nii.ac.jp/?action=repository_uri&item_id=10323&file_id=22&file_no=1
やるべきこと
上記のことから承認欲求を満たす為に私たちがやるべきことは下記が考えられます。
- 承認は誰からされたいのかを明確にする
- そもそも承認を他人に期待しない
1の説明
まず1に関してですが、承認欲求が欲しいけど、ところかまわず誰からも欲しいという状態ですと、どこまで行けば満たされるのか分かりません。それが悪いというわけではなく、目指すならそれでも良いのですが、ここではあくまでも「今、満たされなくて悩んでいる人」を対象にしています。
ですので、スーパースターになってやるという目標をもっていてもいいのですが、まずは本当に承認されたい人という、目標をもっと明確にする方が良いと考えられます。そのうえでスーパースターを目指すのであれば徐々に広げていけば良いのではないかという話になります。
承認欲求は努力をするきっかけになる大切な欲求です。本当に承認をされたい人を明確にすることは無駄な努力を減らすことにも繋がります。
2の説明
次に2ですが、これは承認欲求を他者に求めすぎているのではないか、という話です。他社に全く求めないというのも人間の本能的に難しいでしょうし、欲求が無いと他者との関わりが希薄になってしまう可能性もあります。ですのでバランスが大切であると考えられます。
次の記事ではこのやるべきことを軸に実践リストを考えていきます。
📝【まとめ】
重要なポイントとしては下記になります。
- 承認欲求は、人間にとってごく自然で大切な感情
- でも「誰から」「どんな承認」を求めているかが曖昧だと、心が疲れやすくなる
- 努力で得られる承認と、意味による承認は“別物”であり、混同すると満たされにくくなる
- 自分の承認軸を「気づくこと」が、振り回されない第一歩になる
【一言】誰に認められたいのか、見えてないと苦しくなる
「評価されたい」「認めてほしい」って思うのは、ぜんぜん悪いことじゃない。
でも、誰に? 何をもって? って部分がぼんやりしてると、心はだんだん疲れていきます。
しかも、努力で手に入る承認と、そもそも努力じゃどうにもならない承認がある。
この2つをゴチャッと混ぜてると、がんばってるのに報われない…みたいな気持ちにもなりやすい。
だからまずは、
「自分は誰に、どう認めてもらいたいのか?」
ここをはっきりさせることが、心のモヤモヤをほぐす第一歩になります。
次回【実践編】へ
ここまで読んで、
「たしかに、自分は誰に評価されたいと思ってたんだろう?」
「ちょっと見直してみようかな」って思えたなら、次回がぴったりです。
次の【実践編】では、こんなことをやっていきます:
- 自分の承認の“クセ”を見える化する方法
- 「誰の声」を気にしすぎてるのかを整理する
- 承認の軸を分散して、気持ちをラクにするコツ
読んで終わりじゃなくて、「あ、これ今日からできるかも」って思えるような整備方法を紹介していきます。
心の中を、ちょっとずつ整えていきましょう。
あなたがこの記事を読んで、自分のやりたいことや幸せに目を向けられる生活をする手助けになっていれば嬉しいです。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
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参考・出典
- 薄井明. (2014). 承認の社会学的理論に向けて:「生きづらさ」 の分析のために. 北海道医療大学看護福祉学部紀要, (21), 13-27.