頑張っているのに誰も認めてくれないあなたへ
「こんなに頑張ってるのに、誰にも気づいてもらえない…」 そんな気持ちを抱えたまま、心が疲れてしまっていませんか?
他人に認められたいという承認欲求は、ごく自然な人間の欲求です。 けれど、その承認が得られないと、自信が揺らぎ、やる気を失ってしまうこともあります。
そんなときこそ必要なのが 「自己承認」 です。 誰にも言われなくても、自分で自分を「よくやったね」と言ってあげられる力が、あなたの心を支えてくれます。
そしてこの自己承認、実は使いこなすとメンタルがどんどん強くなっていきます。
今回はそんな「自己承認」が必要な理由と、そのやり方5選をお伝えします。
- 他人に認められなくても、自分で自分を認める「自己承認」が心の安定を支える力になる
- 具体的なやり方を5つ紹介
記事を書いている人
記事を書いている私自身は企業に勤めるサラリーマンとして現在約40歳までの年月を過ごしてきており、その経験の一つとして職場の人間関係で悩み苦しみ、辛かった思いをしてきました。
この記事では、「頑張っているのに誰も認めてくれない」と落ち込む読者のみなさんに向けて、理屈と現実重視の世界で生きてきた元“機械保全士”の私が、心の不調も「整備できるもの」として捉える視点で、ストレスを軽減し、より快適に働けるようになるための考え方や方法を、脳科学・心理学の情報をベースに、私自身の経験も交えながらお伝えします。
【関連動画】
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自己承認に似た言葉
自己理解・自己肯定・自己受容…結局なにがどう違うの?どれが今自分に必要なの?そう思った方は関連する言葉と意味をまとめた記事がありますので良ければそちらをご覧ください。
【なぜ?】自己承認が必要な理由
まず、なぜ自己承認が必要になるのか。順番に話していきます。
自己承認とは?
そもそも自己承認とは何かですが、
自己承認とは自分の行動や思考に価値を見出し、自らそれを認めること。
つまり他人の評価に頼らず、「自分で自分を認める」ということです。
理由は3つ
そんな自己承認が必要な理由は3つあります。
- 1つ目は、他人の評価は思い通りにできないから 。
いくら頑張っても、他人が認めてくれるとは限りません。
自分がどう考えても正しく、褒められるだけの行いをした。だけど評価されない。
でも実はそれって、当たり前のことだったりします。
なぜなら評価とはその相手の主観であり自由です。審査基準や査定基準があれば別ですがそうでない限りは相手の自由です。
ですのでもし相手からの評価が得られず、承認欲求が満たされない。
だから満足できないという人は、この「他人の評価は思い通りにできない」ということを覚えておいてほしいです。 - 2つ目は、自己承認は内側からの安定をもたらすから。
自分で自分の価値を認めることで、他人の評価に振り回されにくくなります。つまり他者に依存するリスクが減るということ。だから自分が何かをする時に、他人の顔色を伺うといった必要が無くなります。こうなると、何かを決める時に、自分の価値判断で決められるようになっていきます。 - そして3つ目は、モチベーションの源になるから。
自分で小さな成果に気づき、それを自分で褒められるようになると、「また頑張ろう」と思える心が育ちます。だから他者の承認が無くても、不貞腐れず、行動ができるようになっていきます。
これら3つの理由からこの自己承認ができる人は、心の安定を支える力がある。つまりメンタルが強くなります。
承認欲求との違い・関係性
- 承認欲求(他者承認):他人から認められたいという気持ち(外側からの評価)
- 自己承認:自分で自分を認めること(内側からの評価)
自己承認は、承認欲求が満たされないときの心のバランス役になります。 「誰かが認めてくれないなら、自分がまず自分を認めよう」 そう思えたとき、心の安定が戻ってくるのです。
【実践ステップ】自己承認をする方法を5つ紹介
それではここから、自己承認をする方法を5つ紹介します。
1. 今日できたことを1日1つ書く
1つ目は、今日できたことを『1日1つ書く』こと
たとえば「洗濯物をたたんだ」「資料を作りきった」「今日はちゃんと休めた」など実際にできたことを見つけて書きます。
ポイントはハードルは低くて大丈夫ということ。完璧じゃなくていい。気づくことに意味があります
できたことノートなど呼び方は様々な手法になります。
やり方(3ステップ)
- ノートやアプリを1つ用意
- 手帳・メモ帳・スマホのメモアプリなど、書きやすいものなら何でもOKです。
- 1日1つ、自分が“できたこと”を書く
- 例:「朝ごはんを作った」「無事に出勤した」「5分間だけ掃除できた」など。
- 週に1回、振り返る
- 「意外といろいろやってるな」と気づくことで、自然と自分を評価できる。だから自己承認できます。
効果
- 小さな達成に気づけるようになる
- できなかったことより「できたこと」に意識が向くようになると、思考が前向きになります。
- 自己肯定感が高まる
- 毎日「やれたこと」が積み重なることで、自分に対する信頼感が少しずつ育っていきます。
- ネガティブ思考のリセットに役立つ
- 落ち込んだ日でも「それでもこれだけできた」と思えるだけで、気持ちが整います。
- 自分の強みや行動のクセが見えてくる
- 続けていくと、「自分ってこういうとき動けるんだな」といった“パターン”が見えてきます。
2. 自分を褒める言葉を声に出す
2つ目は、自分を褒める言葉を『声に出す』こと
たとえば鏡の前で一言「よくやった」、寝る前に「今日もがんばったね」などと自分で自分に声をかけてみる。
ポイントは実際に声に出すことです。最初は照れくさくてもOK。慣れると自然にできるようになります。
セルフトーク(自己対話)と呼ばれる手法になります。
セルフトークとは、自分自身との内的な対話を指し、思考や感情を整理し、自己理解を深める手法です。この内的対話には、ポジティブなものとネガティブなものがあります。ポジティブなセルフトークは自己肯定感を高め、モチベーションやパフォーマンスの向上につながります。一方、ネガティブなセルフトークは自己評価を下げ、不安やストレスを増加させる可能性があります。ですがネガティブな部分を見つめ直すことができる。またそこから欠点を改善に繋げるなど良い面もあります。
セルフトークを効果的に活用するためには、以下の方法が有効です
- 普段のセルフトークを把握する:日常的にどのようなセルフトークを行っているかを観察し、ネガティブなパターンに気づくことが重要です。
- ネガティブなセルフトークをポジティブに変換する:例えば、「また失敗するかもしれない」という思いを「この経験から学べることがある」と前向きな表現に置き換えます。
- ポジティブなセルフトークを習慣化する:日々、自分を励ます言葉や肯定的なフレーズを意識的に使うことで、前向きな思考を強化します。
セルフトークを適切にマネジメントすることで、自己認識が向上し、感情や行動のコントロールがしやすくなります。これにより、ストレスの軽減や目標達成への意欲向上など、多くのメリットが期待できます。
3. 他人ではなく「昨日の自分」と比べる
3つ目は、他人ではなく『昨日の自分と比べる』こと
たとえば「昨日より10分早く起きられた」「今日は嫌なことをちゃんと断れた」など過去の自分と比較してできたことを見つける。
ポイントはこれくらい当たり前と思いこまないこと。これくらい普通。これくらい常識。平均的な数値だ、など。これらはすべて他人と比較をしているということです。
昨日の自分と比較する方法になります。
具体的な方法
数値化してみる
睡眠時間、出費の額、運動した回数などを簡単に数字で残すと、前日との差がはっきり見える。
気持ちの変化をチェックする
「今日はイライラが少なかった」「落ち着いて返事できた」など感情面の小さな進歩も比べてみる。
自己成長を促すための一般的なアプローチとして用いられています。この方法は、他者との比較ではなく、自分自身の過去と現在を比較することで、個人の進歩や達成感を実感しやすくするものです。
心理学的には、1954年に社会心理学者レオン・フェスティンガー(Leon Festinger, 1919 – 1989)が提唱した社会的比較理論(Social Comparison Theory)があります。この理論では、人は自己評価を行う際に他者と比較する傾向があるとされていますが、自分自身の過去と現在を比較することも、自己評価の一環として有効であると考えられます。
また、自己改善のための手法として、過去の自分と現在の自分を比較し、成長や変化を確認することは、自己効力感やモチベーションの向上につながるとされています。
4. 成功体験を振り返ってみる
4つ目は、『成功体験』を振り返ってみること
たとえば「就職活動を乗り越えた」「一人旅ができた」など過去の自分が達成したことを思い出してみる。
ポイントはこの成功体験を、なぜ成功と思っているのかということ。自分の中で成功と思えるだけの何かがあるはずです。
- 目的:自信の再確認
- やり方:過去の自分が達成したことを思い出してメモに残す
- 例:「転職活動を乗り越えた」「一人旅ができた」など
- ポイント:「大したことない」と思っても、それを認めること自体が成功です。
リフレクションと呼ばれる手法になります。
リフレクション(reflection)とは、過去の経験を振り返り、自分の思考・感情・行動を客観的に見つめ直す手法です。ビジネスや教育、心理支援の場面でもよく使われています。
やり方(3ステップ)
- 経験を具体的に振り返る
- 「何が起きたか?」「自分はどう感じたか?」「どんな行動を取ったか?」を思い出して整理します。
- 意味づけをしてみる
- 「なぜそう感じたのか?」「何を学んだか?」「次に活かせることはあるか?」と問いかけてみます。
- 行動や思考のパターンを見つける
- 「自分はこういうときに頑張れるんだな」「苦手だけど、挑戦できたな」など、自分らしさを発見します。
効果
- 自己理解が深まる
無意識にしていた思考や行動パターンに気づき、客観的に自分を見つめる力が育ちます。 - 感情の整理ができる
嫌な出来事も、言語化して俯瞰することで、感情が落ち着きやすくなります。 - 次の行動に自信が持てる
過去の経験から「学び」を見つけることで、「また前に進めそう」と思えるようになります。 - 自己承認を高める土台になる
振り返りの中で「自分なりに頑張っていた」ことに気づけると、自然と自分を認める感覚が生まれます。
5. 物事の見方や捉え方を変えてみる
5つ目は、物事の『見方や捉え方』を変えてみること
たとえば「今日の失敗は駄目だなぁ」と思っていた。「だけど途中まではよくできてた」など思考のクセに気づき、自分の価値を褒める言葉で置き換えてみる。
ポイントはネガティブな視点で終わらず、それでも出来た事実を見つけること。失敗で片づけないで出来たことに目を向けてみましょう。
リフレーミングと呼ばれる手法になります。
リフレーミングは、主に短期療法や家族療法、ナラティブセラピーなどで用いられる技法で、物事の見方や捉え方を新しい視点で再解釈することを指します。例えば、困難な状況を「大変な問題」と捉えるのではなく、「成長の機会」と見なすことで、前向きな感情や行動を促進しますと言われています。
やり方(4ステップ)
- 今の捉え方を書き出す
- 例:「ミスして上司に注意された。自分はダメだ」
- その出来事に別の意味を与えてみる
- 例:「指摘されたのは、ちゃんと見てくれている証拠かもしれない」
- ポジティブな視点に言い換える
- 例:「ミスから学べた。次はうまくやれそうだ」
- 「役に立つ視点」を選ぶ
- リフレーミングは“正しさ”よりも、“前に進めるか”が大事。
効果
- モチベーションの向上:困難な状況を成長の機会と捉え直すことで、やる気が高まります。
- 人間関係の改善:相手の言動を別の視点から理解し、コミュニケーションが円滑になります。
- ストレスの軽減:ストレスの原因となる出来事の意味付けを変えることで、感情的な負担が和らぎます。
- 課題解決能力の向上:問題を多角的に捉えることで、新たな解決策を見出しやすくなります。
このように、リフレーミングは思考の柔軟性を高め、前向きな行動を促進する効果があります。
参考:鬼塚拓、オニツカタク。 (2019年)。 リフレーミング能力を育成するための社会科学習指導の方法.宮崎大学教育学部附属教育協働開発センター研究紀要, 27 , 17-32.
https://miyazaki-u.repo.nii.ac.jp/record/5801/files/p17-p32.pdf
自己承認と他の視点の違い
観点 | 内容 | 対象 |
---|---|---|
自己受容 | ありのままの自分を認める | 失敗・感情・弱さなど |
自己承認 | 自分の努力・行動を認める | 成果・行動・挑戦など |
自己肯定感 | 「自分の存在に価値がある」と感じる | 自分の存在そのもの |
承認欲求 | 「他者から認められたい」 「自分自身を価値ある存在として認めたい」 | 人間が本来持つ基本的な欲求 |

自己承認は「自分で価値を認めて」OKを出す基盤。他の視点と組み合わせることで、心の回復力が高まります。
自己受容
自己受容は自己承認の一つ前のステップみたいなもので、関連する内容になっていますので、もし良ければ下記記事を読んでください。
最後に:あなたに伝えたいこと
自己承認が必要な理由とやり方5選、いかがでしたか?
誰にも認められないと感じるときこそ、自分で自分の価値を認めて褒めてあげる練習が必要です。
小さな成功や日々の努力に「よくやった」と言えるようになると、他人の評価に振り回されなくなり、自己肯定感も高まっていきます。
その最初の一歩は、「自分を責める代わりに、自分を見てあげること」。
現代社会は忙しいので、今までは自分のことが後回しになっていたのかもしれません。
今日からぜひ、自分で自分の価値を認めて褒めてあげてください。
それでは今後もこのような記事を投稿していきますので、いいなと思ったらブックマークしてくれると嬉しいです。最後までご覧いただき、本当にありがとうございました。
また次の記事でお会いしましょう。
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参考・出典
- 鬼塚拓、オニツカタク。 (2019年)。 リフレーミング能力を育成するための社会科学習指導の方法.宮崎大学教育学部附属教育協働開発センター研究紀要, 27 , 17-32.